東京国際プロジェクションマッピングアワード実行委員会(運営:株式会社ピクスおよび株式会社イマジカデジタルスケープ)は、将来のコンテンツ産業を担う人材の育成とCG映像コンテンツ技術の普及を目的としたプロジェクションマッピングのコンテストとして、東京国際プロジェクションマッピングアワード(以下PMアワード)を2016年に設立。若手クリエイターの登竜門として、毎年12月に東京ビッグサイトにて上映会・表彰式を実施している。
PMアワードから更に発展する形で、今回「プロジェクションマッピング 夏フェス 2017」を開催。会場は同じく高さ30メートル、幅94メートルと日本最大級のスクリーンとなる東京ビッグサイト会議棟。過去2回にわたり開催されてきた東京国際PMアワード受賞者の中から選抜された、首都大学東京、多摩美術大学、デジタルハリウッド大学の3チームが、これまでに東京駅での「TOKYO STATION VISION」を始め日本の数々のランドマークをプロジェクションマッピングで彩ってきた、映像クリエイティブカンパニー・P.I.C.S.とともに映像制作を担当した。
イベント当日は台風5号日本上陸の影響もあり、天候がなかなか優れず、AM時点での予報はなんと降水確率100%。野外の会場となる本イベントの開催が危ぶまれる事態となった。同会場で夕方より同時開催されたSTAND UP FESTIVALでは豪雨により一時パフォーマンス中断の場面も。しかし、悪天候にも関わらず、会場にはプロジェクションマッピングで夏を楽しもうと多くの人が来場。有明エリアマネジメント連絡会の協力により、たこ焼き、やきそばなどが無料で振る舞われ、にぎやかな様相となった。
いよいよ日も落ち、開催時刻の19時20分を迎えた。MCの呼びかけと共に東京ビッグサイト会議棟の逆三角形にオープニングタイトルが映し出されると、会場からは大きな歓声があがった。まずは今まで開催されたPMアワードを振り返る「特別ダイジェスト映像 vol.0&vol1」の上映。プログラムが始まると、なんと雨は会場の期待に応えるがごとく止んだ。PMアワードにて最終審査に残った学生作品をダイジェストで繋ぎ、新たな映像作品へと仕立てた、本作品の監督を務めるのは木津裕史(P.I.C.S.)。音楽はフジロックなど毎年数多くの音楽フェスを盛り上げるDÉ DÉ MOUSEが担当。アッパーな音楽とバラエティ豊かな映像が織りなす、夏フェスの始まりにふさわしい、華やかなショーとなった。
幕間にはクリエイター陣によるトークショーも実施された。登壇者は以下の通り。
木津裕史(映像ディレクター:P.I.C.S.)
■首都大学東京(★鈴木理紗、清水愛恵)
■多摩美術大学(★齊藤公太郎、柴田晨、山口新平、油原和記、荒木久徳、高橋明裕)
■デジタルハリウッド大学(★松本豊)
DÉ DÉ MOUSE
石田多朗(音楽監督/作曲家)
諏澤大助(映像プロデューサー:P.I.C.S.)
※順不同 ※★印は各校の代表者
今回の制作についてDÉ DÉ MOUSEが感想を求められると「(自分が作った)曲が流れたら雨が止みましたね(笑)」と興奮と共に答えた。
制作を務めた首都大学東京の清水愛恵さんは「自分達で制作するに当たって、光がふさわしいテーマかなと思い、そこから始めました」と若い視点ならではの着想が垣間見えた。
また、橋本大佑監督作品にて音楽を担当した石田多朗も「学生と一緒に制作する、ということで若いフレッシュな感じかなと思っていたら、以外と皆老成しているというか(笑)締め切りが近づいてくると連絡つかなくなるところなんてもうベテラン並ですね(笑))と、会場からは笑いがおこる一幕もあった。
後半プログラム
盛り上げる中、後半のプログラムがスタート。橋本大佑によるおかめとひょっとこがプロローグを演出し、学生チームによる作品の上映となった。
まずは首都大学東京による作品。普段は工業デザインを学んでいるということで、立体感や奥行きが感じられる作品。コメントからも感じられる光が活かされた作品となった。続いて多摩美術大学。3チームの中で1番チームメンバーの多い理由は手書きのアニメーションで制作していること。虫歯菌が暴れるという独自の発想で3DCGと手書きの温かみが融合した映像に仕上がった。学生チームの最後はvol.1開催時に最優秀賞を受賞したデジタルハリウッド大学。夏の情景を表現したCGのクオリティはピカイチとなっている。
いよいよ夏フェスはフィナーレへ。アニメーションを得意とする映像作家、橋本大佑がディレクターを務める作品の上映がスタート。おかめとひょっとこが登場すると、阿波踊りをモチーフとした陽気な踊りで会場を盛り上げる。妖怪に追いかけられつつ、やぐらの上で踊るおかめとひょっとこに観客が見入られていると、画面の隅に数字が映し出され、カウントダウンが始まった。「九、八、七、、」と会場からも声があがりはじめ、「三、二、一!」の掛け声に合わせておかめとひょっとこが大きくうちわをふると、合わせて花火が打ち上げられ、夜空にあざやかな光が約5分間に渡り降り注いだ。プロジェクションマッピングと花火のコラボレーションに会場は大きな盛り上がりをみせ、興奮覚めやらぬうちに終了した。このプロジェクションマッピングは今後東京ビッグサイトにて定期上映される予定。
※当イベントは東京ビッグサイトが主催する、東日本大震災復興支援イベント「STAND UP SUMMIT 2017」の前夜祭として2017年8月7日(月)に行われた「STAND UP FESTIVAL」との同時開催。
東京国際プロジェクションマッピングアワードは次回、vol.2として12月16日(土)に上映会・表彰式を開催予定。2020年の東京五輪開催に向け、若きクリエーター達のさらなる意欲と技術力の向上に向けた本アワードの動きに是非ご注目いただきたい。