イベントレポート【東京国際プロジェクションマッピングアワード Vol.5】

2020/11/26

初の完全オンライン開催にて、のべ約21万人が視聴!
「東京国際プロジェクションマッピングアワード Vol.5」公式レポート

東京国際プロジェクションマッピングアワード実行委員会(企画/制作:株式会社IMAGICA EEX、株式会社ピクス 以下、実行委員会)は、2020年11月14日(土)に東京ビッグサイトにて『東京国際プロジェクションマッピングアワードVol.5』最終審査・上映会を、初となる無観客オンラインライブ配信で開催しました。

本アワードは毎年東京ビッグサイトを舞台に最終審査・上映会を実施していましたが、5回目を迎える今年は、来場される方、出演者、スタッフの健康と安全を考慮し、オンライン配信にて開催の運びとなりました。

今年のテーマは「CONNECT with」。
国内外よりエントリーし、書類審査を勝ち抜いた10チームが未来に向かって何に、何と繋がっていきたいかをプロジェクションマッピング作品で表現しました。
イベント当日は海外から参加した2チームもオンラインで会場と繋ぎ、東京ビッグサイトと世界中がCONNECTしました。

◆コロナ禍の影響著しかった2020年。そんな時だからこそ生まれた作品達。
今年のテーマ「CONNECT with」を事務局で決定したのは2020年1月のことでした。まだ新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大を予想だにしてなかった時のことです。世界中を今もなお覆うこの脅威は私達の暮らしに大きな変化をもたらしました。
取り巻く状況がどうなっていくのか見えない中、一時は開催中止という意見もありました。しかし様々な行事やイベントが中止になっている現状に少しでも希望の場として本アワードがあるべく、様々な方向で検討を重ねました。
状況に翻弄されているのは事務局だけではなく、もちろん参加チームも同じでした。特に学生は登校が停止となりオンライン授業中心の生活となる参加者は、リモートワーク主体で映像制作を進めることとなりました。
例年、東京に集合して行っていたワークショップも今年はリモートにて実施しました。今回新たな試みとして月に1度、公開講評としてオンライン上で集まり、事務局と参加チームとの密なコミュニケーションに努めました。
こんな時だからこその「CONNECT with」のテーマ通り、映像を志す若い世代同士がつながる貴重な機会となったのではと思います。

◆最終審査、上映会はオンライン開催!ステイホームでも楽しめるエンターテイメントを。
様々な方向から検討し、最終審査、上映会を無観客でのオンライン配信で実施することを決定しました。
国内最大級のプロジェクションマッピングコンテストの場としてふさわしいものにするべく、株式会社IMAGICA EEXと株式会社ピクスが今まで培ってきたクリエイティブ演出のノウハウと最新テクノロジーを駆使し、オンラインで視聴する方が楽しめる新しい試みにチャレンジ。メイン、ドローン、バーチャルの3つ視点から選択できる『マルチアングル配信』、視聴者が会場にリアルタイムで気持ちを届ける『リアクションスタンプ』そして、審査に参加できる『視聴者投票システム』など、離れた場所でも楽しめるエンターテイメントを作り上げました。

オンライン開催 プロジェクションマッピングアワード

◆いよいよ本番当日!4ヶ月をかけて制作した作品が日本最大級のスクリーンへ華やかに上映。
会場では検温、消毒、マスクの着用など感染対策を万全にした上で、国内参加チームが集合。海外チームともオンラインで繋ぎ、華やかに上映会はスタートしました。
MCを努めるのは昨年に引き続き、ハリー杉山氏。海外との同時通訳もこなしながら華麗にイベントを盛り上げます。

審査員としてクリエイティブ業界の第一線で活躍する川本康氏、森内大輔氏、橋本大佑氏、シシヤマザキ氏が登壇。
シシヤマザキ氏はリモートにて参加しました。

各上映作品は下記の通りです。

【学生部門】
東京都立大学
チーム名:HASH / 作品名:MEDIUM

日本電子専門学校
チーム名:FOREST / 作品名:共存

Royal College of Art
チーム名:34 White City (イギリスより参加)/作品名:Narstalgia

大阪芸術大学
チーム名:Xenon / 作品名:remote

城西国際大学
チーム名:TEAM KIOI / 作品名:Shape Of Sounds〜音の可視化〜

大妻女子大学
チーム名:ハズバンズ / 作品名:共栄共存

日本工学院八王子専門学校
チーム名 :ひかえめに大和撫子 / 作品名:ハレ

東京造形大学
チーム名:MDlab. / 作品名:恋文

【U-25部門】

チーム名:Atto(カナダより参加)/ 作品名:Fræktal

チーム名:Harada:lab / 作品名:Mirror

◆いよいよ受賞チームの発表!最優秀賞の栄冠は誰の手に?

全チームの上映終了後、その場で審査会がスタート。審査会中は各参加チームのインタビュームービーが流れました。オンライン上での一般投票もその場で集計され、厳正な審査となりました。そしていよいよ、受賞チームが各審査員から発表されました!
各受賞は下記の通りです。

【学生部門】
最優秀賞
日本電子専門学校 チーム名「FOREST」 作品名「共存」

<審査員・シシヤマザキ氏コメント>
ものすごくユニークだったけど、ただユニークなだけでなくて、生き物である私達の内臓に訴えられる作品でした。
社会という管のに巻き込まれている私達ですが、感情を持ちながら感情に反して食べたり出したりしてしまう、私達も自身も管であるということがとても響きました。
消費する私達は美しくないけど、CGの不気味な質感を上手く利用して表現しており、とても素晴らしい作品でした。

<代表・森渉吾さんコメント>
すごい幸せです。ここで本番に見たときに、思っていたのと色味が違ったり、映像が早くみえちゃったり、落ちてくる玉も少なかったな、とか思ってて…本当に嬉しいです。
(チームの)皆さん一人一人すごい働きをしてくれて、素晴らしい作品を作れて、本当に幸せです。ありがとうございました。

【学生部門】
優秀賞

Royal College of Art / 34 White City 作品名「Narstalgia」

<審査員・橋本大助氏コメント>
地球規模の社会問題とか自然環境問題をテーマに据えると、わりと説教臭くなったり説明臭くなりがちなんですが、そういう事にならず作品として非常に魅力的に見えたのが素晴らしかったです。
ストーリーはないんですが、しっかりと映像の魅力、アニメーションの動き、色でテーマを伝える、感じさせるということがとても上手くいってました。
理屈じゃなくて魂に訴えてくるような感覚で、技術を超越した感性が見える作品で、非常に好きな作品でした。特にラスト、変に説明しすぎず、見てる人に想像させる詩的な隙間に深みを感じました。

<チーム代表・Chang-Lun Chang Chienさんコメント>
受賞したことももちろんうれしかったんですが、何よりコロナの影響がありながらこういったイベントを実施してくれたスタッフの運営そのものにも感動しました。
日本には行けなかったけど、実際に会場にいたような気分になれました。

城西国際大学 / TEAM KIOI 作品名「Shape Of Sounds〜音の可視化〜」

<審査員・川本康氏コメント>
実写をベースにしているんですが、ロトスコープを採用していました。テーマとしては音を色とか形に変えていく、ということだと思います。ロトスコープがはいることによってリアルがファンタジーに近づき、実写の世界とファンタジーの世界が上手く繋がった点が素晴らしかった。
音の形、というワンアイデアを他のディティールで作り込んでいったことでとてもいい世界観が出来上がっていたと思いました。

<代表・藤井隼人さんコメント>
この度はとても光栄に思っております。
半年間リモートで制作していくなかで、完成した映像をこのビッグサイトに投影された映像を見るだけで感無量です。
いろんな人が協力してくれて、今日これなかったメンバーにも投票してくれた人にも改めて御礼申し上げます。

【U-25部門】
最優秀賞
Harada:Lab 作品名「Mirror」

<審査員・森内大輔氏コメント>
鏡をテーマにした作品でしたが、私は非常に日本的な作品だと感じました。表現の緻密さ、細かいところの色彩、形状への心配り、いろいろな世界を丹念に描かれている印象でした。
鏡というのは神社にあるご神体なんですね。日本の文化にとって中心にあるような自分を映し出すようなそんな存在。
リモート期間で自分を見つめ直す機会の多かった皆さんの心情も現れているのかな、と思いました。
素晴らしい作品を見せていただきました。

<チーム代表・林祐太郎さんコメント>
このような機会を設けていただきありがとうございました。
2回めの挑戦で、U-25があったおかげで最後のチャンスだと思って参加できましたた。このメンバーで最後まで創り上げる事ができて本当に良かったです。チームメンバーはもう壁を超えて家族のような存在です。ありがとうございました。

審査員特別賞
ATTO (カナダより参加)  作品名「Fraektəl」

<審査員・川本康氏コメント>
昨年も海外勢がかなりいい賞をもらいました。今年も海外から参加している2つのチームがとてもクオリティが高いし優れている。
審査員としてもこれは特別賞を与えたいと。
地球規模で今世の中に起こっていることを捕らえた作品で、国内チームは身近な人達とのつながりを大事にしていると思うのですが
(ATTOの作品は)グローバルな視点で表現されているところが素晴らしかったです。

<チーム代表・Julien Lafortuneさんコメント>
まずここにこういった形で参加できたことがとても嬉しい。心からありがとうございます。
このコロナウイルスとの戦いが共存から収束に向かったときにいつかかならず日本に行ってこの喜びを皆さんとシェアしたいです。

各賞発表後、森内大輔氏より総評を頂きました。

<森内大輔氏より総評>
審査が例年にもましてかなり時間がかかってしまいました。本当に甲乙つけがたい素晴らしい内容でした。
この条件下のなかでこんなに素敵な内容を皆さんが作られたことに敬意を評します。
この環境で仕上げられるということは数年前には考えられないです、今のテクノロジーと皆さんの感性があってこそだと思います。

今回のテーマ「CONNECT with」について、皆さんが何とつながるかを改めて考えてみました。
皆さんの作品、どれもキラキラしたいいところがありました。演出、ストーリーの面白さ、音楽とのマッチング、それぞれの作品にそれぞれのいいところがあったと思います。
この会場で上映を見ながら自分のチーム、他のチーム、それぞれにいいところを見出したと思います。
ぜひこの会場に集まったことを機会に少しソーシャルディスタンスをとりながらぜひ新たな仲間と繋がってほしいなと思います。
また、運営の方も今回はオンライン配信など、すごく工夫されていました。最新の配信技術を融合させた、更に進化したコンテンツもみたいなと思いました。
それぞれの代表があつまったオールスターによるスペシャルイベントとかがこの会場でみれたりするととても楽しいかもしれないですね。今回はありがとうございました。

◆ファイナリストの健闘を称え、コロナ収束を願い…花火と音楽とプロジェクションマッピングによるフィナーレショー!

そして、最後を締めくくるのはプロジェクションマッピングと花火と音楽、東京ベイエリアならではの景観が融合した幻想的なフィナーレショー。
国内、海外、すべての参加チームがそれぞれに自分を表現した映像が盛り込まれ、今までの制作を振り返るような時間となりました。

イベントを振り返りながら、ハリー杉山氏は「僕は技術のことは何もわからずですが、ひとつひとつの作品をとても楽しむことができました。喜怒哀楽のローラーコースターに乗っているような気持ちでした。きっと皆さんコロナに向き合う中で、当たり前だったものが奪われてしまって、大変な日々を過ごされていると思います。大切な人を失ってしまう可能性もありますし…ただ、日本という国はこうしてクリエイティブを生み出すことができる環境にあるのではと思います。世界各国、それが叶わない国もあるなかで、こうして皆さんの努力がこの場でしっかりと味わえて、それがこの場だけではなく、(オンラインを通じて)日本中、世界中に広がっていく瞬間を目撃できてとても光栄です。
そして皆さん1人1人のクリエイションがどのような新しいカタチで世の中に届けられるのか、今後を楽しみにしたいと思います。」とコメントしました。

今回のイベントの模様は公式サイト内の特設ページ、YouTube、Twitter(Periscope)で配信され、合計214,724人の方に視聴されました。
東京国際プロジェクションマッピングアワードは来年も開催予定です。
実行委員会では、今後も映像テクノロジーの人材育成に寄与すると同時に、臨場感のある体験型オンライン配信に挑戦していくことにより、ニューノーマル時代の人材育成と街の発展に貢献していきたいと思います。

【イベントの模様は現在アーカイブ配信中!TOPリンクの特設サイトよりご覧ください。】

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